畑中章宏
『老いに追われて』

BOOKESSAY

「わたしは母をすててきたばかりである」という作家自身の言葉からこの本は始まる。

本書は民俗学者である畑中によるエッセイ要素の強い「生きるための民俗学」。

誰もが直面する親の老い、そして自分自身の老いについて、民俗学の視点を交えながら掘り下げていく。 姥捨伝承、昔話、神話、不老長寿、貝原益軒『養生訓』、有吉佐和子『恍惚の人』、カフカ『変身』を横断しながら「老い」と「生い」を紐解く。現代を生きる多くの人が、いつか必ず直面する選択に向き合う一冊。

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写真=佐内正史。

解説=町田康

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一 母をすてる

二 翁の正体

三 不老長寿の願い

四 『養生訓』を読む

五 隠居はかなえられたか

六 いじわるばあさんの孤独

七 老いらくの恋の顛末

八 恍惚の人びとはどこにいたのか

九 「ポックリ往生」と「ぼけ封じ」

一〇 「養老」と「敬老」という言葉

一一 父を看取る。幸田露伴とその娘

一二 老人と子どもの絆

一三 カフカの『変身』は老人介護を描いているのか

一四 死に急ぐ年寄りたち

一五 臨終の風景

一六 老いの坂、登れば

最終章 老いに追われて

畑中章宏 (ハタナカアキヒロ) (著)

一九六二年、大阪生まれ。民俗学者。災害伝承、民間信仰から流行現象まで、幅広い領域に取り組む。著書に『天災と日本人』『廃仏毀釈』(以上、ちくま新書)、『災害と妖怪』(亜紀書房)、『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)、『死者の民主主義』(トランスビュー)、『五輪と万博』『医療民俗学序説』(ともに春秋社)、『宮本常一』(講談社現代新書)、『新・大阪学』(SB新書)、『小泉八雲 「見えない日本」を見た人』(光文社新書)、『『忘れられた日本人』をひらく』(若林恵との共著。黒鳥社)など多数。最新刊は『オルタナティブ民俗学』(島村恭則との共著。誠光社)。

2026.04.16